京大きらら同好会

京都大学きらら同好会(3代目)のブログです。

【完結済みきらら作品紹介・番外編】『桜色プルーフ』

 

まえがき

 初めましての方は初めまして、そうでない方はいつもありがとうございます、京大きらら同好会所属のベルです。先日『空の下屋根の中』の記事を執筆したばかりではありますが、執筆可能な者が他に現れなかったため一足早く2周目を書かせていただきます。

 現在、きらら展FINAL開催に伴ってCOMIC FUZできらら作品の無料開放が行われています。更に、土日には普段読むことのできない過去5年分の雑誌のバックナンバーまで読むことができます!

 ということで、今回はリレーブログの番外編として「連載の終了した作品」には当てはまらないゲスト作品『桜色プルーフ』を紹介させていただきます。この機会に『桜色プルーフ』という作品を知り、読んでくださる方が増えれば本望です。

 

基本情報

作品名:『桜色プルーフ

作者:妄想先生

掲載誌:「まんがタイムきらら

掲載期間:2021年10月号~2022年1月号(4話ゲスト)

まんがタイムきらら2021年10月号(芳文社、2021年)149ページ

あらすじ

 読書と甘いものを愛する主人公・桜庭来実(-くるみ、通称さくらちゃん)が、少し強引なところのあるジャーナリスト志望の少女・南宮一穂(なみや・ちほ)の持ち込んだ学校の謎を、一穂が提供するお菓子に釣られるかたちで解き明かしていく本格謎解き4コマ。

 

本作の魅力

・ミステリとして

 本作には1話、2話で1つずつ、3話、4話で計1つの3つの謎が取り扱われています。「花壇が何者かによって荒らされていた」といった「日常の謎」と呼ばれる小規模な事件ではありますが、そのどれもが真相を読んだ後になるほど!と納得できるものであり、読み返すといくつかヒントとなる描写があることも分かります。一見不思議に見える事象に対する筋の通った説明は、ミステリとしてとても満足できる構成になっています。

 

・日常系4コマとして

 私に妄想先生の絵柄がとても刺さったというのはあると思いますがとにかく絵が可愛い!!また、ストーリー重視の作品でありながら随所に4コマ目でオチが作られており、日常4コマとストーリーのバランス取りが非常に上手い作品だと思います。

 

・全4話の中に詰まったストーリー展開

 推理小説家の姉を持つさくらは姉と比べられた経験を通して「自分には創作を行う特別な才能がない」と感じています。全4話という短い話数の中でこのコンプレックスを掘り下げてゆき、最終的に綺麗に解消する様は、「4話限りのゲスト作品」ではなく「全4話の超短期連載」として捉える方がふさわしいでしょう。もっとも、連載になったうえで続きが読みたかった...というのは常に思っていますが。

 

おわりに

 通常、きららの雑誌は発売後1年が経過した時点で電子書籍の購入が不可能になってしまいます。そのため、1年以上前のゲスト作品を読み返すためには、国立国会図書館に足を運んだり中古の紙の雑誌を探したりする必要があり、非常にハードルの高い行為となっています。今回のCOMIC FUZでの無料公開期間を逃すと人に勧めやすくなる機会が次いつ訪れるか分からない、ということで少し無理を言ってこの記事を書かせていただきました。限られた時間の中、他に見返したり読んだりしたい作品は多々あると思いますが、ぜひ少しだけ時間を使って『桜色プルーフ』を読んでください!本当にお願いします!

 私事にはなりますが、読む小説の大半が推理小説かつ読む漫画の大半がきらら作品である私にとって、本格ミステリ×きららであるこの作品は、掲載終了後数年の間も忘れられない作品であり続けました。今回、そんな思い出深い作品の紹介/布教記事を書くことができて大変嬉しかったです。それではここで筆を擱かせていただきます。拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。

 

おまけ

きら同入会時の自己紹介でも好きな作品としてあげていた