京大きらら同好会

京都大学きらら同好会(3代目)のブログです。

【「つむつき」完結記念リレーエッセイ】つむつきのグッズについて

どうも、くら鳥です。

1月末に紡への愛を語らせて貰ったばかりですが、【「つむつき」完結記念リレーエッセイ】なので、つむつきストを志す者として2つぐらいは書かないと!という事で再登場です。

 

最近、京大の11月祭でつむつきのグッズを展示する機会を貰えたので、今回はつむつきを最近知った人向けに、これまで発売されたグッズや特典について書かせて頂きたいと思います。

11月祭でのつむつきのグッズ展示

 

1巻発売から2巻発売まで (2020年6月26日~2021年8月25日)

まず皆さんがつむつきのグッズとして思い浮かべるのは何でしょうか?アクスタでしょうか?それともタペストリーでしょうか?

記念すべき、つむつきの1巻の特典はこのようなラインナップでした。

 

『紡ぐ乙女と大正の月』 1巻 特典
(2020年6月26日 発売)

1巻ではイラストカードやリーフレットなどの紙類が中心で有償特典にタペストリーが1つあるといった状況でした。リーフレットやポストカードなどはもちろん素晴らしいのですが、私がその時思ったのは「外に持ち運べるグッズがない...」という事です。つむつきは聖地巡りが盛んな漫画なので、持ち運びに適したグッズがないことは致命的です。ですが、実はこの時にキャラットの読者プレゼントで唯月のアクスタがあったんですよ。なので、私を含めたファン達は「アクスタが欲しい!」とTwitter(現在のX)で呟いたり、きらら編集部さんにアンケートで伝えたりして2巻でアクスタが販売されることを願いました。

 

そして、2巻の発売!といく前に、その間につむつきは メロンブックスさん や とらのあなさん でフェアの特典となることがあったので、そちらについても少しだけ説明したいと思います。

メロンブックスでのフェア特典1
(左:2020年12月1月 開始, 右:2021年4月27日 開始)

メロンブックスさんの方はこんな感じに漫画を2,3冊買えばクリアファイルやイラストボードが貰えるというもので比較的GETしやすいものでした。

では、とらのあなさん はどうかと言うと、あのフェアは私が思うにつむつきのグッズ関連で最も過酷なフェアだったと思います......

 

とらのあなでのフェア特典
(2021年2月25日 開始)

内容としてはこのようなデザインのB2タペストリーが貰えるというもので、必要な漫画の数はきららレーベルの漫画を25冊。つまり、タペストリー1つに約25000円です。当然このようなイベントには対象作品を買うとポイント2倍というのがあるのですが、対象の6作品のうち『NEW GAME!』『ブレンドS』『紡ぐ乙女と大正の月』『星屑テレパス』は私は既に揃えていました(とは言っても、『紡ぐ乙女と大正の月』と『星屑テレパス』は当時1巻のみ)。でもって、残りの2種類も2巻までしか出ていなかったので明らかにポイントが足りない。しかし、学生の私は25000円を出すのは厳しかったので何としてでもポイント2倍で買う必要がありました。

そこで私が下した決断は......

「つむつきの1巻を10冊買うしかない!」

当時、とらのあな日本橋店の店員さんが困惑した様子で、つむつき1巻を裏から持ってきて貰ったのを今でも覚えています。1巻が10冊あって何に使えるんだ?と思う方もいるかもしれませんが、10冊も家にあると持ち運ぶアクスタ代わりにつむつき1巻を常に持ち歩くようになったり、とりあえず読んだことない友人に貸したり配ったりするようになったので、今思えばよかったのかもしれないですね。

2巻の発売から3巻の発売まで (2021年8月26日~2022年8月25日)

いよいよ、2巻の発売です。その時のラインナップはこちらです。

『紡ぐ乙女と大正の月』 2巻 特典
(2021年8月26日 発売)

紡達が私服を着たイラストやゲームに入ってしまったミニ漫画や紡の男装姿など、個人的にもこの時の特典は凄く好きなんですが、何か思うことはないでしょうか?

「1巻とグッズの種類が変わってない......」

そうなんです、実は2巻でもアクスタは販売されず紙類とタペストリーのみでした。そのため、きらら編集部さんへのアンケートにつむつきのアクスタが欲しいと書き続ける日々が続きます。(ちなみに、この時の読者プレゼントは湯呑みでした。)

そして、この年にはきらら展 in 名古屋が開催され、この時につむつきも展示作品の仲間入りを果たしました。その際にはチケット購入特典で色紙が貰えるなど、ファンの間では「つむつきが盛り上がってきた!」と凄く勢いづいてきた頃でした。

きらら展 in 名古屋でのチケット購入特典
(2021年9月3日 発売)

そして、きらら展の物販でも1つ商品が売りに出されており、それがこちら。

きらら展の物販で販売された商品
(2021年11月3日 開催)

「アクスタだぁぁぁ!」

念願のアクリルスタンド(ジオラマ)が販売されたのです!これは凄く嬉しかったですね。ジオラマなので少し大変ですが、これを持ち歩いて写真を取る人もいたりしました。他にもきらら展では描き下ろしイラストの原画やアクリルアートプレートも販売されていました。

あとは恒例のメロンブックスさんでフェアの特典があったりしました。

メロンブックスでのフェア特典2
(2021年12月1日 開始)

 

3巻の発売から現在まで (2022年8月26日~ )

そして、きらら展などで波にのった、つむつきの3巻の発売の特典がこちら。

『紡ぐ乙女と大正の月』3巻 特典
(2022年8月26日 発売)

いつものリーフレットタペストリーに加えて、アクスタがあります!!これだけでも、凄く嬉しいのですがつむつきの勢いはこれで終わりではありませんでした。

メロンブックスの原作柄グッズ
(2022年8月26日 発売)

なんと、メロンブックスさんでグッズが販売がされたのです。多数のアクスタにアクリルパネルやWスエードタペストリーと大量のグッズが追加されて、ここに来てアンケートに書き続けてきた事がようやく実ったなと感じられて本当に嬉しかったです。そして、つむつきとは切っても切り離せない「ぷりぷりプリン〜♪ 美味しいプリン〜♪」も3巻に掲載されている内容なので、3巻を読んですぐにアクスタとプリンを一緒に撮影して投稿できたのも楽しい所でしたね。(ちなみに、この時の読者プレゼントは万年カレンダーでした。)

更に、翌年には

eeo Storeの描き下ろしグッズ
(2023年3月28日 発売)

このようなランジェリー姿のグッズまで販売されました。ここで、つむつきで初めての缶バッジとアクリルキーホルダーが販売されます。ここで持ち運びやすいグッズもどんどん増えてきて楽しくなってきました。(余談:このランジェリー姿の紡が可愛すぎるんですよね。おへそも出して凄い無防備なのに、めっちゃ強そうな表情なのが好き過ぎる♡)

この年も恒例のメロンブックスのフェアもありました。

 

メロンブックス フェア 特典3
(2023年6月1日 開始)

 

終わりに

以上で、COMIC ZINさんできららレーベルを買った時に貰えるポストカードや、ゲーマーズさんやメロンブックスさんの雑誌を買った時に貰える、ブロマイドやミニ色紙、ファンが出している同人のグッズを除けば、これまでに販売されたおおよそのつむつきのグッズについては説明したと思います。

 

しかし、何かを忘れていませんか?

2023年5月号 読者プレゼントの旭抱き枕カバー

伝説の旭抱き枕カバーです!

こちらは2023年5月号の読者プレゼントで貰えるもので、抱き枕カバーに描かれるキャラはTwitter(現在のX)で投票が行われ旭に決定しました。これは投票の段階では読者プレゼントと決まっておらず皆さん凄く楽しみにしていたのですが、結果は3名のみしか手に入れることができない伝説の代物となってしまいました。今もなお、私はアンケートに書いたりしているのですが、まだ抱き枕カバーの販売予定はついていない状況です。

今回、アクリルスタンドなどがアンケートに書いて数年越しに販売されたのを皆さんには知って貰えたと思いますので、つむつきの抱き枕カバーが欲しいと思った方はアンケートに書きましょう!(僕は夜雨さんの抱き枕カバーが欲しいと書き続けてます。)  そして、4巻の特典やきらら展FINALの物販で売りに出されることを願いましょう!

 

最後に、これらのたくさんの素晴らしいグッズは、ちうね先生及びきらら編集部様とそれを販売してくださったお店の方々のお陰で私達の手に渡っているので、感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。運営の方々、本当にありがとうございます。

 

これで私から皆さんにつむつきのグッズについてお伝えすることは以上です。

次回のリレーエッセイもお楽しみに〜!

【「つむつき」完結記念リレーエッセイ】『紡ぐ乙女と大正の月』ときらら同好会

どうも、じゃすみんです。

「つむつき」のリレーブログをやろう、となったときから題材選びには頭を悩ませていたのですが、やはり会長としてはきら同との関わりみたいなところを書くべきでは?と思い、この記事を書くことにしました。ちなみに元々は雪佳ちゃんのすきすきポイントを紹介する激キショ記事になる予定だったんですが、1本目で飛ばしすぎるのもな……となったので没になりました。次回作にご期待ください。

さて、3代目きらら同好会が生まれたのは昨年の4月。当時は会員が4人しかおらず、すべてが手探り状態でのスタートでした。なにぶん人数が少ないので色々と大変なこともありましたが、それゆえのメリットもあります。それは……

推し作品の布教がしやすい!

会員が4人しかいないと、布教して誰か1人にでも刺さってくれれば、会の半数以上の人間がその作品を推していることになるわけです。元々きら同に「つむつき」推しの土壌は全くなかったんですが、私が永遠に「つむつき」の話しかしないので段々と周りに浸透していき、ついにはきら同の顔みたいな立ち位置になりました。もう思い残すことはなにもありません……。

とはいえ、やはり「きら同=つむつき」のイメージは立て看板(タテカン)によるところが大きいと思います。初めてタテカンを立てたのは6月頃で、題材は「ぷりぷりプリン美味しいプリン」のコマ。

線画は経験のある会員が、塗りは私含む1回生2人が担当したのですが、色作りや塗り方が思いの外難しく、一旦完成したかと思われたものを没にして一からやり直したほどでした。ツイッター(@Kirara_KU)ではかなりの反響があり、苦労した甲斐があったと感じたのを覚えています。また、京大のオープンキャンパスでは2枚目の「つむつき」タテカン(八重子ちゃん)を立て、受験生の注目を集めるところとなりました。数枚のタテカン制作を経て、また塗料のグレードアップにより、一層よいものができたと自負しています。

これらのタテカンには作者のちうね先生にも反応していただき、なんと遥々京都まで見に来ていただけることに。8月には先生をお招きしてタテカンの紹介・京大の案内・熊野寮の案内・「つむつき」インタビューなどをさせていただきました。ちなみにこの時のインタビューは会誌『京雲母』に掲載されています。

また、8枚のタテカンを組み合わせて「つむつき」神輿を作成し、実際に先生にも乗っていただいたことも印象的です。現在のきらら同好会が現在の形で存在するのは、ファン活動に対する先生のご理解とご協力があってこそだと思います。本当にありがとうございます……。

こうして「きら同=つむつき」のイメージが確立し、京都が「つむつき」の準・聖地と化していく中で訪れたのが京大11月祭(NF)です。「つむつき」をはじめとした様々な作品の単行本やグッズの展示・会誌『京雲母』の頒布などを行い、多くの方々が訪れてくれました。最終日にはちうね先生にもお越しいただき、「つむつき」クイズ大会を開催。熱心な「つむつき」ファンの方々に参加していただき、観戦者の方々と合わせてかなりの盛り上がりを見せました。

さらに、12月に「アンタッチャブルTV」の企画で熊野寮が取り上げられた際にはタテカン制作についての取材を受け、「ぷりぷりプリン」タテカンが地上波に映ることとなりました。作品そのものの紹介などはありませんが、多少なりとも「つむつき」が全国のお茶の間のみなさんの目に触れる機会にはなったのではないでしょうか。実はタテカンのところで作品の話もしてたんですけどね。本編にはありませんが、アンタッチャブルザキヤマが「歓迎 ちうね先生」幕を見てちうね先生に興味を示していたのは記憶に新しいところです。

振り返ってみると本当に色々な出来事があり、長いようで短い1年間でしたね。連載終了は悲しいことではありますが、見方を変えれば一つの通過点とも捉えられます。私はまだまだ推し続ける気で満々ですし、きら同としても引き続き「つむつき」イベントを開催するかもしれません。これからの1年間も精一杯頑張っていきますので、みなさまの応援、お待ちしております!

【「つむつき」完結記念リレーエッセイ】ご機嫌でアッパーになっちゃう紡が可愛いお話

どうも、くら鳥です。

あれ、会長じゃないの?と思った方もいらっしゃるかもしれないですが、会長のお話の内容を見て、「その話の前に、主人公の紡についての愛を語らせてくれ〜!」とお願いしたので、急遽ですが私になりました(すいません)。ですので、私が思う紡の可愛い内面についてお話したいと思います。

 

 

早速本題に入りますが、

ご機嫌な紡、可愛すぎませんか?

 

紡は家での女中の仕事に加え、平日は学校まである忙しい日々を送っていて、凄く疲れが溜まっていると思います。その上、現代の時でも友達がいなくてぼっちだったので、慕われたりすると凄くテンションが上がって分かりやすいですよね。

作者のちうね先生からも、アッパー系のコミュ障*1と言われていて、自分のアッパーさに気づかずに空回りして、知らぬまに"ぼっち"になっているタイプだと思います。これもポジティブに捉えれば無邪気で不器用な可愛い性格の表れなんですけどね。

ですので、

紡は純粋な性格であったがために、友達が出来なかった可哀想で可愛い女の子なんです。

 

そんな、可愛くて分かりやすい紡が特に生き生きしている、後輩とのバレーボール回(31話)を見て紡の可愛さについて語りたいと思います。

この回では、現代の学校とあまり違いのない状況(ブルマは除く)だったからか、それとも紡リスペクトが高い初野と後輩達の前だったからか分からないですが、とにかく紡が調子にのっています。

明ちゃんと初めて出会う時のコマを見ると

ちうね『紡ぐ乙女と大正の月』(2022年,芳文社)31話より
初対面の明ちゃんに対する

まさにアッパー......

いきなり知らない上級生からこんな事されたら、明ちゃんじゃなくても泣いてしまいそうです。その後もバレー部と聞いて陰キャ特有の早口で運動部の悪口を言ったり、なぜかバレー部の存在を紡が許したり紡の素が凄く出てるように感じます。

そして、調子が有頂天に登ると、

ちうね『紡ぐ乙女と大正の月』(2022年, 芳文社)31話より
調子が有頂天な紡

バレーが得意でないにもかかわらず骨を鳴らして強そうな雰囲気を出していますね。(調子にのっちゃって可愛い♡)

そこから、敵味方から天罰を受けるシーンは可哀想なのでお話しませんが、最終的には悩める明ちゃんを全力でアシストする紡はいい先輩です。

そのお陰もあって、明ちゃんや後輩から慕われるのですが、そこでまた調子にのっちゃうのが紡です。

 

ちうね『紡ぐ乙女と大正の月』(2022年,芳文社)31話より
再び調子にのる紡

調子にのっていて可愛いですね(若干、苛立つ顔かも知れませんが)。

後輩と別れた後の帰り道でも

 

ちうね『紡ぐ乙女と大正の月』(2022年,芳文社)31話より
しあわせそうな紡

初野の優しいセリフもあってか、こんなにも幸せそうな顔になっちゃってます。こんな可愛い紡を見てると私も幸せな気持ちになりますね〜。

 

今回の私のお話はここまでですが、普段は忙しくて疲れてるからこそ、たまに素が出てアッパーになっちゃう紡の可愛さが伝わっていれば嬉しいです。

次こそは会長の番なので、楽しみに待っててくださいね〜!

 

 

*1:独占インタビュー「ちうね先生が語るー『紡ぐ乙女と大正の月』裏話」(2023年,『京雲母』vol.1)より

【「つむつき」完結記念リレーエッセイ】『紡ぐ乙女と大正の月』第1話掲載の瞬間に立ち会った一読者としての思ひで

『紡ぐ乙女と大正の月』最終話まであと○日! 最後まで盛り上げていきますよ~!

                            

書いた人:湖柳小凪

 

オープニング ~このリレーエッセイができるまで~

 

 はじめまして、京都大学きらら同好会・研究生の小凪です。

 突然ですが皆さんは『紡ぐ乙女と大正の月』という作品について知ってますか? 知ってますよね⁉(圧)

 

 『紡ぐ乙女と大正の月』(以下「つむつき」と呼称)はちうね先生によって2019年11月号から『まんがタイムきららキャラット』上で連載されている漫画作品です。令和の時代から大正時代にタイムスリップしてしまった主人公・藤川紡が行く宛てのないところを助けてくれたお嬢様・末延唯月とともに女学校生活を送るようになるところから始まる、女の子同士の友情やそれ以上の関係性を描いた作品で、現在既刊は3巻まで発売されています。

 

 

 私たちの3代目京大きらら同好会は発足以来、「つむつき」に支えられて歩んできたといっても過言ではありませんでした。弊会には会長以下、この作品に対して深い愛情を持った会員が多く集い、数多くの関連するタテカンやお神輿を作成してきたほか、作者のちうね先生を学祭にお招きしてイベントを開催するに至るなど、「つむつき」は現在の弊会を語る上で外せない作品となっています。

 

 しかし、どのような物語にも終わりはくるもの。それは「つむつき」についても例外ではありませんでした。先日発売されたまんがタイムきららキャラット1月号上にて、近々完結を迎えることが発表となってしまいました。

 その発表によって弊会内部にも震撼が走りました。そして完結までにこれまでお世話になってきた作品に対して何か恩返しできることがないかを考えた際、やっぱり会を挙げて最後までコンテンツを盛り上げるべきではないか、という結論に至りました。

 このリレーエッセイもその一環です。本日から有志の会員が数日おきにこの作品への愛情やこの作品との思い出を綴っていきたいと思います。

 「つむつき」がすでに大好きな人もこのブログで「つむつき」を初めて知った人も、このリレーエッセイがきっかけで完結に向けて盛り上がって、みんなで完結を迎えられる一助となれば、そして『紡ぐ乙女と大正の月』という作品と作者のちうね先生への感謝の気持ちが少しでも伝わるものとなれば幸いです。

 

 ……能書きが長くなってしまいましたね。次からいよいよ本編です。

 

 

『紡ぐ乙女と大正の月』第1話掲載の瞬間に立ち会った一読者の思ひで

 大学に入ってから初めての試験期間を乗り切った、翌日の昼下がり。

 夏休みに入り人がまばらになった校舎で、私は人生で初めて手にとったまんがタイムきららキャラットの最初の1ページを、ゆっくりとめくっていた。

 そしてその2019年9月号は偶然にも『紡ぐ乙女と大正の月』ゲスト第1回が掲載された号だった。つまり私は、(少し大袈裟だが)偶然にも人生ではじめて買ったきららで、偶然にも「つむつき」の第1話が掲載された瞬間に立ち会ったのである。

まんがタイムきららキャラット2019年9月号 表紙。この号で「つむつき」は初めて掲載された。

 

○私と「きらら」、私と「つむつき」

 私が「きらら」を知ったのは2018年の冬だった。『スロウスタート』に魅せられた私は次のクールに放送された『こみっくがーるず』、そして『はるかなレシーブ』と続けざまにきららアニメを見ていった。2018年秋クールの『アニマエール!』は受験が直前に迫っていたこともありリアタイ視聴は断念したものの、合格してからは受験期に見ていなかった反動もあって、『ご注文はうさぎですか?』『NEW GAME!』『がっこうぐらし!』と言った有名どころの過去作きららアニメを呼吸をするように見ていった。

 

 そして大学1年の7月、『まちカドまぞく』が放送がはじまってからは私の中でのきらら熱は最高潮に高まっていた。そんな中で私は人生で初めて「まんがタイムきらら」、それも当時アニメがやっていた『まちカドまぞく』が掲載されていたキャラットを買うに至った。大学入学前は漫画全般を全く読んだことがない漫画初心者の私にとって、このことはある種の初体験で特別な意味を持っていた。そんなはじめての体験の中で私の前に現れた「つむつき」第1話のインパクトは、今でもよく憶えている。

 

 その頃の私はきらら系の中でも特にコミュニケーションが苦手なキャラが成長していく作品やしっかりとしたストーリーがある作品を好んでいた。前者は『スロウスタート』『こみっくがーるず』、後者は『がっこうぐらし!』『まちカドまぞく』など。

そんな私の性癖に「つむつき」はまさにドンピシャに刺さった。いきなり女子高生が斬りかかられるところから始まるインパクト、タイムトラベルと言ったしっかりとした話の軸、そして私に対してのダメ押しとでも言うかのようにトッピングされる主人公・藤川紡のぼっち&高校デビュー設定*1

 まさに私の、私のための、ちうね先生によるザ・きらら、ラーメンで言うところの固め濃いめ脂マシマシである(何を言っているか訳わからないって? 言ってる私自身も自分でも何を言ってるのかよくわかっていない)。ストーリーがしっかりある作品だからこそ初回2話同時掲載でたっぷりと尺を使って描かれた「つむつき」に、私はすっかり魅了されてしまった。

 

 このような素晴らしい作品か連載していないなんておかしい、連載しないなんて全世界における損失だ、ぜひ続きが読みたい。そう思った私は気づいたら読者アンケートを書き始めていた(ちなみに余談だが、この際ちゃっかり表紙絵の図書カードが当選してたりする)。

 

○「つむつき」1話・2話同時掲載の持つ意味

 と、ここまで「つむつき」における(ある意味ステレオタイプ的なきららイメージとはズレる)ストーリー性の高さについて主に絶賛してきたが、「つむつき」1話・2話でうまかったのはあくまで萌え日常4コマというきらららしさを残し、活用しながらもメリハリつけるところは緩急のあるストーリーを実現した、いわば「きらららしさ」*2と「高いストーリー性」の両立した点だろう。

 前述した通り「つむつき」1話は令和の女子高生が大正時代の警官に真剣を突きつけられるという衝撃的なページから始まる。そして次のページからも丁寧な時代考証に基づいた、「高校デビューを頑張った女の子が大正時代にタイムトラベルしてしまった」、という非日常が展開される。そのストーリーだけだと萌えキャラによるストーリー漫画となり、私は大好物だが、きらららしいかと言われると首を傾げる人もいたのではないか。

ちうね『紡ぐ乙女と大正の月』(2020年,芳文社)1巻1話より。

 しかし「つむつき」は初回2話掲載とすることで、1話の緊迫したストーリーの部分で終わらせず、大正時代における生活が紡の「日常」になる入り口ところまで、初回掲載時に、主に2話で描いている。この第2話ではいきなりタイムトラベルしてしまったことで緊迫感が強かった1話とは一転、末延唯月に時折いじられながらも、紡がこの時代における「日常」の拠り所を確立していくところが描かれる。

 

 そんな唯月と紡のやりとりは微笑ましく、和やかで癒されるものになっている(と、私は感じた)。このように女の子のやりとりに癒される、微笑ましさを感じる、というのはまさに海藍トリコロ』、湖西昌『かみさまのいうとおり!』以来、きららが築き上げてきたきらら作品のDNA・きらららしさとでもいうべきものを受け継いだ正統派きららと言えるのではないか

 

 これがもし「つむつき」初回が1話しか掲載しなかったらどうだっただろう。尻切れ蜻蛉で終わった感も去ることながら、「つむつき」をきらら作品として見た時、少し物足りなさを感じてしまったかもしれない。もしくは丁寧に大正時代の社会を描いたパート(大正時代のお金周りのエピソードなど)を削って1話で落ち着くところまで詰め込んでしまう、という手も考えられるが、それはそれで丁寧な時代考証という本作最大の魅力の一つを殺してしまうことになる。つまるところ、「つむつき」は初回2話掲載だったからこそ、この作品独自のストーリー性ときらららしさをどちらも魅力的に描け、最初から私も含めたきららファンの心を掴んだところがあるかもしれない。

 

○4コマの使い方が巧みな点

 また、きららが萌え日常「4コマ」である、という特色を最大限生かしたシーンが1話からあることも忘れてはならない。例えばこのコマ。

ちうね『紡ぐ乙女と大正の月』(2020年,芳文社)1巻1話より。

 

 これは紡の全身を2コマに分割して細かく描くことによって周囲の大正時代の洋装との違いを比較して分かりやすく読者に伝える、という意図ももちろんあっただろう。

 

 しかし、それに加えてスカートがドアップで、しかもコマという枠のうちのど真ん中に収められている。これによって全身が大きな1コマに描かれている場合よりも読者の視線が紡の(大正時代にしては短い)スカートに向くように計算されており、後の紡が「破廉恥」という風評被害に合うシーンにより読書が納得できるように描かれているのである。

 

 つまり、4コマのギミックもうまく使った「つむつき」は、4コマ漫画という形態と切っても切れない縁のあるきらら作品に最初から順応した作品、ゲスト掲載当初から「きららの中のきらら作品」だった……とも言えなくもない。

ちうね『紡ぐ乙女と大正の月』(2020年,芳文社)1巻1話より。スカートに注目がいくようなコマを先に配置していることで、このコマの「破廉恥行為」の説得力が増している、ともとれる。

 

○その後の私と「つむつき」

 そして私は当時、続く第3話の掲載された10月号も購入していた。第3話では物語の舞台が学校に広がり、より本格的に大正時代における紡の「日常」が始まるとともに、しばしばきらら作品でみられる百合の波動も他の作品以上に縦軸のストーリー性を感じさせる形で描かれるようになっていく。そんな中で「つむつき」の連載決定の告知を半ば当然の結果と思い、半ば安堵して見ていたこともまた、今でも憶えている。

 

 それから4年と8か月ほど。あの時はじめてきららを手にした私は某ボランティアサークルで運営代を経験し、引退し、ゼミに入り、卒論を書き上げ、社会人になった。

 

 そんな私は恥ずかしながらあの3話以来、「つむつき」から大分距離を置いてきてしまった。第4話が掲載されたキャラット11月号を買いそびれたことをきっかけに月刊誌で追うことを諦め、単行本が出たときには既に就活の本格化で時間面・金銭面での理由からなかなか単行本を揃えて読むのは難しくなっていた。その間も知り合いに「つむつき」のサイン入りタペストリーを見せられたり、某百合サークルで熱烈に布教されたり*3「つむつき」のタテカンが京大に襲来したりと、「つむつき」を定期的に目にする機会があったにも関わらず、である。

 

 そんな私は本来、熱心な「つむつき」ファンの皆様に末席を連ねて「つむつき」について語る資格などない。しかし、こんな私だけれども、私の中で「つむつき」は初めて買ったきらら・初めて買った漫画誌の中に掲載されていたたった一つの印象深い作品で、あの作品が今の私のきらら観を築いてくれた部分があることは間違いない。そんな大切な作品の完結に際して、「つむつき」と私の思い出を振り返る機会をくださった京大きらら同好会の皆様には感謝してもしきれない。そして。

 

 完結直前に際してこれまで追いつこう追いつこうと思っても追いつけていなかった「つむつき」に、今度こそ追いついて最終回を迎えたいと思っている。それはもう、暫く会っていなかった友人の近況報告を聞くような気持で。

 そんな、5年間会ってなかった友人の近況報告を受けた気分で「つむつき」を一気読みしたオタクの話も何日後にブログにさせてもらえる予定だ。その時にはまたお付き合いいただけると幸いである。

 

 

エンディング ~次回予告に代えて~

 と、いうことで俄かオタクの昔話はここまで! 次回は満を満たしての会長の登場です(いや、会長を差し置いて俄かがトップバッターで良かったのかって話ではあるのですが……)。 

※諸事情により第2回は会長と同じくらいつむつき愛の深い会員が先の投稿となりました。

本物の「つむつき」オタクの贈る次回も楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

*1:「つむつき」に見られる主人公のコミュ障設定についてはくら鳥「きらら主人公から学ぶ、ぼっち回避術!」(2023年,『京雲母』vol.1)などの先行研究に譲る。

*2:ここで言うきらららしさとは湖柳小凪「月刊誌『まんがタイムきらら』20年史における百合的需要への応答の変化」(2023年,『Liliology 』vol.3)で整理したように「女の子同士のいちゃいちゃや関係性が描かれている」「和む」といった要素を「きらららしさ」と暫定的にしています。あくまで小凪の個人的な印象・イメージですので異論は沢山あると思います。会としての統一見解はまだなく、内部から批判もよくあるので話半分程度で見ていただけますと幸いです

*3:布教された内容がこちらにまとまってますのでよろしければどうぞ。「私達の選んだ1コマ」大賞2021(「私達の選んだ1コマ」大賞2021② - 京都大学百合文化研究会の研究ノート (hatenablog.com)

ブログ開設のご挨拶

会長挨拶

新年あけましておめでとうございます。

京大きらら同好会3代目会長のじゃすみんです。あなたの可愛いはここにいる!

さて、この度きらら同好会ではブログを開設させていただく運びとなりました。きらら同好会の活動紹介のほか、各会員の寄稿も掲載する予定です。ぜひ、X(@Kirara_KU)と合わせてご覧ください。

また、以下に会員からの一言を載せておりますのでお読みいただければと思います。

きらら同好会は本年も精力的に活動していく所存です。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

会員挨拶

くら鳥

きららファンタジアからきらら作品にハマり、『NEW GAME! 』と『紡ぐ乙女と大正の月』を愛する外部会員です。聖地巡りしたり、コスプレしたり、バンド組んだり、同人誌を書いたり、きらら作品のようにみんなで楽しい事をするのが大好きなので、きらら作品を見て行動したくなった方は、私含むきらら愛溢れる会員の方々と一緒に”はたらくって青春だ。”になりましょう!!

 

猿渡白雪

愛してやまないうみかいちょーのタテカンにまんまと釣られてきらら同好会に入会したきらら同好会唯一の研究生。釣られたからには釣った相手に食べてもらわなくちゃですね。他の兼サー先は学園生活部とラブ同盟(要出典)。共通テストきらら学を作成したりきらら20年史をおってきららは「百合」に接近してると主張する異端児。大丈夫、きら同は怖くないよ! 少しでも興味があるなら、あなたも愉快な仲間たちときらライフをてっつどー!しましょう‼︎

 

うりあ

初めまして、うりあです。『きんいろモザイク』ときららクイズの人と認識していただけると幸いです。私は現在学部4年で来年卒業してしまいますが、今年5月頃にきら同に入会してとても楽しい時間を過ごすことができ、卒業してしまうのが非常に残念です。私が卒業した後も楽しい組織であり続けることを願いながら、卒業までに残された時間を目一杯使ってきら同を盛り上げたいと思います。

 

京大熊野寮きららPT長

京大熊野寮きららPTとは、京大の学生寮である熊野寮内の有志団体です(熊野寮ではこういうのをプロジェクト・チーム、PTと言います)。きらら同好会とは異なる組織ですが、タテカン製作を手伝ったり会誌に寄稿させて頂いたりしてます。将来の夢は全世界を熊野寮化することと、熊野寮の中枢を乗っ取ることです。

 

小汚いエアコンの生け捕り

こぎと呼んでください。スロスタ、恋アス、球詠が好きなきららファンタジア難民。2023年度会計。星尾女子高等学校=男塾説提唱者。2024年度の目標は、NF(京大の学祭)と同時開催される北部祭典のきら同スペースを盛り上げること、会誌の原稿の締切を会員に守ってもらうことです。

 

にる

にるです。
きらら同好会にはTwitterで合宿やNFなどイベントのツイートを見て面白いそうだと思って入りました。皆さんとイベントなどを通じきららを盛り上げれればなと思います。

 

たけらぎ

たけらぎと申します。きらら同好会の外部会員で、最近のイチオシ作品は「しあわせ鳥見んぐ」です。
今後の目標として、各大きらら同好会同士での交流を推進していきたいと考えています。
みなさんもぜひきらら同好会に入ってきらきらした日常を楽しみませんか?

 

ミッ

ミッです。対面で呼びづらい、発音しづらいと評判です。
ご注文はうさぎですか?』アニメ1期からきらら沼にブクブクと沈み、今年で10年になります。心地よいこの沼の住人と「好き」を共有してニヨニヨするのって素晴らしいことだと思いませんか?

 

まっつごー

まっつごーといいます。
スロウスタート』に出会って早七年、それからというものの様々なきらら作品に魅せられ続けた人生でした。かなり移り気な僕ですが、きらら同好会を再び結集させ活動が実を結んだことで人生の軸がまたきららに戻ってきたような感覚です。
今年もさらに活動を盛り上げていきましょう!絵ももっと上達できたらいいなあ。